花柳流の後継者争い

日本舞踊の最大流派「花柳流」の4代目家元・花柳寿輔(本名:寛)氏から不当な理由で除名されたとして、3代目家元の親族・花柳貴彦氏が処分の無効を訴えていた訴訟で、東京地裁は25日、除名を無効とする判決を下したそうだ。ひとまず貴彦氏の勝訴という決着は見たが、どちらが真の後継者となるか、という最大の懸念事項は宙に浮いたまま。さらに泥沼化する可能性がありそうだ。
花柳流の流紋が入った羽織はかま姿で判決を聞き入った貴彦氏は、ほっとした表情で深々と頭を下げたという。閉廷後は弁護士とがっちり握手を交わした。
判決や訴訟などによると、問題の発端は9年前にさかのぼるという。子どもがいなかった3代目家元は次期家元として親戚にあたる貴彦氏を指名していたというが、2007年5月、遺言状などを残す間もなく72歳で急逝してしまったそうだ。すると、分家筋で3代目の後見人だった寛氏が葬儀の席で4代目襲名を宣言。貴彦氏が不服を主張したことでバトルが勃発したとのこと。
寛氏は14年4月、必要な手続きを経ずに花柳流の舞踊を上演したなどして、貴彦氏に花柳流の名取として活動することを認めず、除名処分を宣告。同年6月、貴彦氏が東京地裁に処分の無効を求め訴訟したことで、約2年間にわたる法廷闘争に発展した。
判決で岩井伸晃裁判長は「処分対象となる事実は除名に相当するほど重大な行為ではない。花柳流家元としての裁量権の範囲を超えており、懲戒は重過ぎる。貴彦氏を排除する意図があった」と指摘。敗訴した寛氏は「主張が一部認められなかったのは不服だ」とのコメントを出したそうだ。
寛氏が控訴するか否かは現時点では不明とのことだが、判決が確定すれば今後、家元の座をめぐり新たな争いが始まることが予想される。
寛氏は6月4日から2日間にわたり、自らの孫である創右氏を5代目家元として継承させる儀式を執り行う予定としているという。伝統芸能の後継者問題は時として泥沼化することもあると思うが、この件に関しては現”4代目”の横暴が過ぎる気がする。